原文
アジア全域に根を下ろした巨大企業である三安グループは、東アジアの小さな国のスタートアップ企業で始め、世界で最も巨大な企業集団で育った企業である。三安グループは軍需産業を担当する三安重工業と三安高精度、そしてバイオロイド産業を担当する三安産業で構成されており、その中でも、グループの始まりであった
三安産業は持株会社の役割を担っている。
世界でも最も巨大で強力な企業集団の中枢である
三安産業も開始は微弱だった。
三安産業の開始は、二人の大学生だった。ソウルで経営学を専攻した
キム・ジソクとソウルに留学生として来ていた
アダム・ジョーンズは、
オリジンダスト研究序盤には
オリジンダストが人類自体を変えると信じて意気投合し
三安産業を設立した。
優れたビジネス上の洞察力を持っていた
キム・ジソクとバイオテクノロジーにおいて天才的なアイデアを誇っていた
アダム・ジョーンズの組み合わせは、すぐに頭角を現し、その会社を小さいながらも技術的な部分では、業界の水準を達成するに十分なものを持っていた
オリジンダスト産業が重要になると、
三安産業は急成長した。特に研究を担当していた
アダム・ジョーンズは、バイオロイド製作に初めて成功した偉業を達成し、さらに
ラビアタ・プロトタイプという圧倒的な性能のバイオロイドを発表していくつかの企業集団も
三安産業の技術を凌駕することができないという絶望を抱かせた。
みんな
三安産業の成長とその製品に感心した。外部からの評判に
キム・ジソクと
アダム・ジョーンズの結束は何よりも硬くなった。しかし、彼らの間には亀裂が生じてしまう。そもそも、お互いを理解していない二人には当然のことであった。
キム・ジソクは、企業内でのバイオロイド福祉と技術の理想論を広げ、自分の意見に事あるごとに反対する
アダム・ジョーンズを除去する必要があった。
アダム・ジョーンズは、
キム・ジソクと共に大株主であったので、企業統治のためにも排除は当然のことだった。
キム・ジソクは悩んだ末、結局
アダム・ジョーンズの粛清を決定し、これは速やかに実行された。バイオロイド福祉問題に他の株主の不満を買っていた
アダム・ジョーンズは、
キム・ジソクの罠を逃れることができなかった。
表面的には
アダム・ジョーンズは
ラビアタ・プロトタイプの開発のために消費していた莫大な費用のために席を退いたとされたが、実際は、一介の研究員に左遷されていた。他の企業の買収をしたが、小さな所だった。小さな企業は、この業界の支配者のいずれかであった
三安産業に逆らうことができなかった。
三安産業と競うほどの規模を持つ
ブラックリバーと
PECSコンソーシアムは
三安産業よりもバイオロイドを乱暴に扱うところであった。
失意に陥った彼は
ラビアタ・プロトタイプの技術の多くの部分を秘密裏にし、自分だけの研究に没頭した。
キム・ジソクも廃人になった
アダム・ジョーンズに満足して、彼を放置した。それが、自分と一緒に
三安産業を作った男の最後の姿であった。
三安産業はこの一件の影響を受ける事なく莫大な利益を出していた。コンスタンツァシリーズは、その高い価格にもかかわらず、高い人気を博し
三安産業に莫大な利益をもたらしてくれた。裕福層のためのアレクサンドラとリリスシリーズはしっかりと市場に位置を取った。下級品のラインナップが少し欠けてた市場で
三安産業の高い収益率に追いつく企業はなかった。
中間に
連合戦争や失脚した天才
アダム・ジョーンズの拉致事件など些細な事あったが、
三安産業は、最終的に政府との
連合戦争で勝利し、
アダム・ジョーンズがもたらした技術の流出も防ぐことができた。さらに潜在的な脅威であった
アダム・ジョーンズの死は思わぬ儲けであった。
アダム・ジョーンズが握っていた彼の巨大な持分は彼の妻が相続したが、
キム・ジソクの個人的バイオロイドを譲り受ける条件で株式は買い取られ、
キム・ジソクの支配はさらに強固になっていった。
三安産業と
キム・ジソクは、より大きな夢を求め始めた。
ブラックリバーと
PECSコンソーシアムを引き離すために、MP
NW101についての研究が本格化。他の企業との技術的な格差はさらに大きくなるだろう。その後は三安の、三安による支配と平和が新しい世界の覇権になるだろう。
もし、滅亡の日が来なければ、地球は新しい支配者を迎えただろう。